SaaSとして提供するために – 開発日記(97)

2024/05/05

今作っている「アイディア・レーン」は、Webで動くソフトでありインストール不要でどこでも使える。

しかも基本無料で提供しようとしている。

ただサーバへのアクセスが増えるとどうしてもコストがかかってくるので、ある程度以上使う方向けには有料プランを用意することにした。

有料プランを作ると一口に言っても、そのためにやらねばならないことは結構ある。製品機能(コア機能)の開発の他に、下記の事を考慮しなければならない。

  • コストシミュレーション及び課金の金額設定
    • どのくらいのユーザのときにどのくらい費用がかかるか、サーバ代含めいくつもシミュレーションを実施
    • “何をもって有料にするか”の決定とその価格設定
      • アイディアレーンの場合、基本機能は無料で全て使えるようにしたい。ある程度以上使う場合に、少額のプランに課金してもらう。
      • この「ある程度以上」を何にするかは難しいが、相当悩んで「キャンバス数」にした。いわゆる保存できるファイル数が一定数まで無料というイメージだ。
      • 但しキャンバス数だけを制約事項とすると、課金を避けるために1つの巨大なキャンバスを無理矢理使い回すような使い方をする人がいるかもしれない。そこで1つのキャンバス内のアイディア数も制約を設けることにした。
    • 何をもって有料にするかは色々なパターンが考えられ、メリデメを考慮しながら長い間考えたが最終的に上記とした。
  • 課金に関する機能の開発
    • ソフト内の有料プランに関する案内画面
    • ユーザのプラン加入管理
    • ユーザのプランに応じた画面表示の切り替えや制約動作のチェック
    • 課金の停止処理などの管理系機能
  • 課金にまつわる連携の開発
    • どの決済代行会社を使うかの調査
    • 決済代行会社の申し込み・設定・審査(けっこう時間を使った)
    • 決済代行会社との連携方法の検討(Stripeは意外と高機能)
    • 決済代行会社との連携の実装(これも大変。このためにCloud Functionsも学ぶ羽目に)
    • 決済関連のテスト(本番とテストの切り替えなども気をつける・・・)
  • 課金にまつわる関連情報の整備と公開
    • ホームページの加入プラン案内ページ
    • 利用規約
    • 特定商取引法に基づく表記
    • プライバシーポリシー
    • 問い合わせフォームの設置

コストを抑えるために

基本は無料で使っていただき、有料プランもなるべく安く提供したい。
とはいえサーバ費用が高くなると自分が持ち出しになってしまうので、DBアクセスなどサーバコストを常に気にしながら開発する必要性がある。

そしてホームページを作るにもコストがかかる。プロに依頼するとお金がかかってくるので、勉強を兼ねてWordPressと無料テーマで自分で作成してみた。

これらにお金をかけることは正直簡単なのだが、そうすると「回収」しようとする気持ちが働きビジネス色が強くなってきてしまう。アイディアレーンはニッチなツールでありビジネスとして本格的に成り立たせるにはきつい。
そこで地道な工夫をしてコスト構造が高くならないように気をつけている。

とはいえ開発コストは高い

そもそもWebで動くソフトは、ユーザが利用するデバイス・プラットフォームの違いを考慮しないといけない。

Flutter Webはワンソースで動かせるとはいえ、実機でテストすると環境ごとに違いが意外とあって辛い。とくにTextFieldや日本語入力周りはボロボロ。WindowsとMacとAndroidとiPhoneとiPadでそれぞれ必ずテストしてみた方が良い。

私がGithubで報告したflutter webのissue(Openなもののみ)

デバイス・プラットフォームの違いに加え、それぞれにブラウザの組み合わせもあってかなりきつい。
はっきり言ってこれらのテストや対応コストは高い。

そしてそして、当たり前だが多くの人に使ってもらうにはUndo/Redoが出来るようにしたり、大量データへの配慮をしたり、セキュリティ対策、ヘルプの用意など色々なことを考える必要がある。

アイディアレーンは上記を考えながら1人で作っており、思った以上に大変で時間を使ってしまうことを実感している。

当初はフリーウェア的な軽い気持ちで作り始めたのだが、Webで動くソフトにした結果めちゃくちゃ大変になってしまった。

ただ、やはりソフトをインストールしなくてもすぐ使えるのはとても便利。当初のWindowsソフトではなく、インストール不要でブラウザ上でそのまま動く形にしたことは正解だと思っている。


※開発日記は当時の記録をもとに作成し、必要に応じて加筆・補足しています

この記事はアイディア整理ソフト「idea Lane」の開発記録です

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